
私は、阪神・淡路大震災(平成7年1月17日)と東日本大震災(平成23年3月11日)の両方を経験しました。阪神・淡路大震災の時は、現場で道路復興事業に携わりながらも、自分では何も行動できず、被災地をただただ眺めているだけでした。阪神・淡路大震災で何もできなかった教訓から東日本大震災では、現地と連携をとり支援物資の救援活動に参加したのですが、道路・鉄道などのライフラインが寸断された中での避難所への支援物資の輸送が課題となり、救援活動の難しさを痛感しました。また、平成の2つの災害から、大規模災害時には受援対応するはずの自治体自体が被災し「公助の限界」を、身をもって経験しました。そのような経験をした私達の世代は、自助・共助による「ソフトパワー」が重要だと言うこと、「自助、共助、公助」のバランスを取ることで、被災者の救助・救援・支援活動が向上することを感覚的にとらえていると感じています。
また、日本の長い歴史の中で、「神社・寺院」は、人々の交流や学習の場・災害時の避難場所といった多様な役割を果たし、地域の人々にとって公共的役割を担ってきました。自然災害の歴史を伝え、かつ地域の防災拠点として機能しうる「神社・寺院」をどのように維持し、また地域住民や行政機関などの多様な主体間で共有していくかが課題となっています。日本における、仏教・神道・儒教などの思想は多くの人々に影響を与え、なんとなくの宗教観を持っています。このなんとなくの宗教観を根底に持つ人々が、自然災害に見舞われた際、きれいごとではない「利他の精神」を呼び起こし、災害直後の行動(被災者の列を作って待つ行動や略奪のない街の様子)に現れます。この行動が世界中で賞賛され、社会的倫理観の高さが、日本人の「日本人としての意識」となり、復興へ向かう活力になっていると思えます。
世界でも有数の災害大国である日本は、地震,それに伴う津波,台風,豪雨,土砂崩れ,洪水,火山噴火,豪雪による災害などがあり,全国各地で多くの被害を引き起こしています。この状況下で、防災力を高めるには、科学や技術の力だけでなく、災害時に秩序だって行動できる精神的能力こそが,防災力の中核を成すと考えます。
これらの経験から、当機構創設以来、「空からの支援」を実現し、提供することが必要であると考え、自治体や関連団体、民間企業等と共にヘリコプターでの実証実験・人員物資搬送訓練、自治体場外離発着場使用事のガイドライン構築を実践してきました。また、日本の伝統的コミュニティの中心に位置し、地域社会の精神的支柱となってきた「神社・寺院」を、社会福祉活動における地域の重要な場としてとらえ、「神社de献血」や、寄付金付き備蓄水「そなえの水」の提供を行い、応援・受援体制を構築し「地域での自律的な防災力」が高まることを目的とした災害対策活動を展開しています。
災害対策は時代にあった方法を取り入れていくことが必要です。これからの世代には、大災害から得た知識や経験を、世界の災害対策に役立ててもらうと共に、きれいごとではない「利他の精神」をもって、全国規模の防災連携体制を展開する取り組みに、挑戦し続けてほしいと思います。
当機構の活動が、今後も、たくさんの方がたのご支援を得て、さらに大きく広がっていくことを、創設者として心から念願しております。
2018年年7月
創設者 松尾悦子
